嘘を書くとばれるのか?犯罪になる?
履歴書に嘘の記述、虚偽の記載をしてしまった場合、ばれる可能性はあります。もっとも、全ての企業が全ての履歴書の裏どりをするわけではありませんので、100%ばれるということではありません。
しかし、様々な場面でばれる可能性があるので、嘘を書いて採用されたとしても、ずっとばれる危険性がついて回ることになります。
また、犯罪になるかどうかという点については、現在のところ、詐欺罪や私文書偽造などの刑法上の犯罪として逮捕・起訴されるというケースは極めて稀です。
しかし、軽犯罪法に該当する可能性はあります。具体的には、例えば公務員ではないのに公務員と記載して身分を偽ったり、弁護士ではないのに弁護士と名乗ったりするケースです。他にも、様々な公的な身分・資格については個別の法律に罰則規定があれば、処罰されることがあります。
その他の項目・内容の虚偽記載でも、その履歴書で採用され、入社することは民法上の不法行為に該当しうるものとなり、就業規則等で記載された解雇事由にもなりえます。
まとめると、犯罪にはめったになりませんが、就業規則違反で解雇される理由には十分なりえます。
どんなときにばれる可能性がある?
虚偽の記載、嘘がばれる可能性があるのはどんなときでしょうか。
入社前に関しては、面接担当者が履歴書を見ながら色々な質問をしてくる面接の場では、話の整合性が合わなかったり取り繕ったりすることで話に矛盾が生じ、ばれる可能性があります。
また、入社後は偶然や人からの情報で発覚することがあります。取引先の担当者が前職で関係者だった場合、会社に前職の同僚や知人、同級生がいたような場合など、密告というつもりはなくても会話の内容でかみ合わなかったりするとばれるケースがあります。
他にも、各種書類の提出時にばれる可能性があります。書類に関しては次のようなケースでばれることがあります。
年金手帳・退職証明書を提出するとき
年金手帳は社会保険加入手続きに必要なものです。過去に会社で働いていた場合、加入履歴が記載されている場合があります。職歴を偽って入社してから年金手帳を提出した場合、加入歴から嘘がばれる可能性があります。
次に、退職証明書は過去の職歴をその退職した会社で証明してもらうための書類です。証明する内容(所属部署、役職、業務内容等)は本人が指定することができますが、入社・退職の日を省略することはできないので、就労期間を偽った場合はばれてしまう可能性があります。
雇用保険被保険者証を提出するとき
雇用保険被保険者証は雇用保険の加入手続きをするときに必要なものです。
直前の退職した会社名、退職日が記載されていますので、退職日を偽った履歴書を提出している場合、ばれる可能性があります。
源泉徴収票を提出するとき
源泉徴収票は年末調整のときに必要になります。前職の会社名、給与の額、入退職日が記されています。もし紛失したとしても、再発行は手間がかからないものなので、提出を求められます。
したがって、こちらも退職日を偽った履歴書で応募して採用されていると、嘘がばれる可能性があります。「自分で確定申告をするので年末調整は不要です」と伝えてそのときはクリアしたとしても、翌年度の市民税特別徴収の個人別明細には収入金額が記載されていますから、年末調整をするときと収入が同じ場合は疑いを持たれてしまうでしょう。
資格が必要な仕事のとき
その仕事をするのに専門の資格が必要な場合、資格がないのに資格があると偽ってしまうと、資格証明書や合格証を提出しなければならなくなったときにばれてしまいます。
職種によっては役所に届け出を出さないといけないものもあるので、ばれやすいケースです。
嘘がばれたら内定取り消し・解雇になる?
嘘がばれたら会社の選考基準・就業規則に則って処分が下されることになりますが、基本的には、嘘の経歴は内定取り消しや解雇の事由になります。
しかし、現実的には、嘘が軽微な場合や、内容によっては会社の裁量で不問とされるケースもあります。例えば就労期間が1年5か月10日だったのを1年6か月と記載した場合や経歴を少し盛って大げさに書いたというようなものは、記載時の解釈程度の範囲でしょう。
また、アルバイト経験が一部割愛されているというのは複数のアルバイトをしていると全部書ききれないようなことはしばしばあります。
ただし、そういうときには面接時に、「スペースの都合上、履歴書には全て記載できていませんが○年○月から○月までは複数のアルバイトをしていました」なとど伝えておくと嘘ではなくなりますし、誤解を防ぐことができます。
嘘を書いて採用された場合であっても、その後の頑張り次第で、会社にとってなくてはならない人、替えの利かない存在になれば、会社から辞めさせることはなくなるでしょう。
バイト歴も履歴書に書かないといけない?
アルバイト歴を履歴書に書くかどうかについては、「長期のアルバイトであれば書くべき」です。履歴書の空白期間は採用担当者の気にするポイントですから、アルバイトをしていたのであればそれを記載することは問題ありません。
ただし、その場合は職歴に「アルバイトとして入社」など、アルバイトであることが明確にわかるような記述にしておいてください(正社員での就職と誤解されるとトラブルの元になります)。
短期アルバイトをいくつかしていたという場合は、代表的なものを1つ書いて、「その他、○○、○○等のアルバイト」などと記載しておきましょう。
嘘を書いてもいい場合はある?解雇・すぐ辞めた場合は?
ハローワークでは、試用期間や研修期間で退職した場合は、履歴書に記載しなくて良いという指導・案内を行っているところもあるようです。
実質的に非常に短期であり、アルバイトに近い内容であることからそのように判断されている可能性があります。
こういったケースでは念のため、アルバイト経験のように、短期間ですがどこどこで働いていました、と面接時に補足説明すれば足りるでしょう。
また、解雇の場合は事実を記載すべきですが、どうしても記載をしたくない場合、「一身上の都合で退職」と記載しても問題になることはほとんどありません。
ただし、面接のときにどういう経緯で退職に至ったのかということをうまく伝えるほうがベターです。なお、解雇に至るケースは様々なので、あまりに不採用に繋がる可能性が高い理由の場合は、言い方を工夫する必要があります。
過去の裁判の例では、以下のようなケースがありました。
「プログラミング能力がほとんどなかったにもかかわらず、あるように職歴を記載して面接でも偽りの説明をした場合」、会社の懲戒解雇処分が認められました。
「2か月~6か月の間就労していた複数の会社について履歴書に記載していなかった場合、「その労働者の従業員としての資質、能力の評価に関する重要な経歴を詐称したものとはいえない」とされ、懲戒解雇は認められませんでした。
いずれにしても、こういった虚偽の内容で採用された場合、民法上の不法行為に該当しうるので、懲戒解雇処分が認められなかった場合でも、損害賠償を求められる可能性もゼロではありませんので注意してください。
\ この記事をシェアしよう! /