面接を受けると、面接官からの質問として必ず出るのは、長所と短所についてです。人間、誰でも長所と短所がありますが、長所はともかく、なぜ短所も聞くのでしょう。どう答えるかを見ているのでしょうか。そのあたりを考えてみましょう。
面接官が短所を聞く3つの狙い
面接で長所と短所の質問は非常によくある質問ですが、なぜそのようなことを全員に毎回聞くかというと、物事の正確な把握とどう答えるかの人柄、そして短所をカバーできる問題解決ができるかどうかの考え方や行動を見ているのです。つまり、見ているポイントとしては次の3つです。
1.短所をきちんと把握できる客観性があるか
短所は誰にでもあるからこそ、自分の短所は自分でしっかりと自覚を持っていることが大事です。向かい合っていないと、分析もできないですし、努力もできないからです。
まずはこの、短所を捉えて認識することができる客観性のあるなしを見ています。
2.短所を取り繕ったりしない誠実さがあるか
自分の短所がわかっていてきちんとそれを人に伝えることができる誠実な人柄が求められます。経歴や実力が十分備わっていても、短所を隠したり巧妙な言い方で取り繕ったりする不誠実な面があると、色々な人間が集まる会社組織の中ではやっていけないからです。
3.短所をカバーできる能力があるか
面接官は単に短所を知りたいわけではありません。短所が表面化した際に、その人が具体的にどう行動できるかが知りたいのです。向上心や意欲、問題解決能力が仕事には必要だからです。
「正解」を答えるための5つのポイント
では、実際に面接で短所を答えるときは、どうやって答えたら良いのか、どうすれば正解なのか。面接官が見ているポイントをふまえて考えると、以下の5つの点を意識しましょう。
1.認識している短所を誠実に伝える
多かれ少なかれ短所があるのが人間です。「短所は全くありません。」と言ってしまうと自分のことを客観的に見ることができていないと判断されます。短所のない人はいませんから、自分と向き合えない、誠実さもない、努力のかけらもない人と評価されてしまうでしょう。
まず客観的に見てこういう短所があります、ということを話すことが大切です。これによって短所を理解している客観性と、短所に向き合って伝えることのできる誠実さを伝えることができます。
2.具体的な経験談を交えて伝える
短所はそれがわかる具体的な経験談、エピソードとして伝えましょう。抽象的な言い方や表現では「結局それって短所なの?」と思われてしまいますし、短所と認識していることへの向き合い方や、問題解決能力があるかどうかがわからなくなってしまいます。
3.業務上問題ないことを伝える
企業、面接官にとっては、多くの場合、言ってしまえばどのような短所があっても良いのです。肝心なのは、短所があっても業務上支障がないかどうかという点です。客観的で誠実だとしても、仕事を実際にする上で問題が続出するようでは採用には躊躇します。
4.前向きな姿勢・言葉で伝える
短所は誰しもあるものですから、必要以上にネガティブ、後ろ向きに捉えてしまう必要はありません。こういう短所はあるものの、こうやってきちんと対処して向き合っている、取り組んでいるということを前向きな姿勢・言葉で伝えましょう。
5.全ての短所を言う必要はない
まず、把握している短所が複数ある場合、全部を言う必要はありません。3つ、4つあった場合、まず一つを挙げれば良いでしょう。一つの短所について深く話した上で、他にありますかと聞かれた場合に2つ目以降の話をしましょう。
その中でも、応募している仕事に直接問題が起こるものではないもの、努力次第でカバーできるものが良いでしょう。
なお、身体的な特徴、病気に関することは性格上の短所というわけではありませんので、それを短所として伝える必要はありません。通院状況や持病などは必要に応じて別途、健康状態の欄で伝える事柄です。また、遅刻癖や口が悪いなど社会人として致命傷なものは客観性以前の問題でもあるので、短所と認識しているなら早急に改善して面接時には伝えなくて良いようにしましょう。
上で説明した具体的な経験談のなかで、こういう短所があったものの自分はこう取り組んで解決した、という形で仕事上問題ない旨を伝えることが重要です。
短所の答え方例5パターン
上で説明した考え方に基づいて具体的な短所の答え方について例文を記載します。
1.飽きっぽく集中力がない
「売上アップのための新しいサービス提案など、好奇心が盛んで率先していろいろなアイデアを出し、仕事につなげることができる反面、同時進行のタスクを抱えていることが多く中途半端な案件を抱え過ぎて、集中力に欠ける部分を上司に指摘されたことがありました。それからは仕事の効率を考え、人へお願いしたり任せることをしつつ、自分でタスクの数を絞って確実に完了するようにしています。」
2.心配症・神経質である
「心配性で、とことん細かな部分まで突き詰めないと気が済まず、完璧にやろうとするところが短所だと思っています。データ入力等の際には、確認を繰り返す作業に時間がかかってしまう傾向にあるため、ミスは少ないですが、社内資料などの作成を依頼された際には、余裕を持って仕上げるように、他の仕事との時間配分を考えながら進めています。」
3.優柔不断である
「物事をなかなか決められない性格で、人から見れば何でもないようなことを慎重に考えすぎて迷ったりしてしまうことがあります。チームで仕事をしたときに意見の2択を求められてもすぐ答えられずに仲間を困らせてしまったことがありました。判断材料が不足していると感じることが原因だったという面もあるので、それからは仕事での意思表示には注意し、迷うときにはまず迷っている理由を述べて、アドバイスをもらうようにしています。」
4.頑固である
「自分で決めたことに対して頑固なところがあります。商品開発の際に自分の考えをなかなか撤回できなかったことがありました。上司からは、自分で決めたこと、考えについて自分で責任を持たないといけないという気持ちが強いからそういう行動になるのではないかと言われました。確かに責任感とともに、感情的になっている場合もあると理解しているので、意見の対立があった際には、冷静になって話を聞いた上で、必要に応じて第三者の意見も確認するようにしています。」
5.せっかち・短気である
「せっかちで営業で一刻も早く成果を出したいという思いが先走り、お客様に時間を空けずに何度も連絡をしてしまったことがあります。連絡はするものの必要な準備がおろそかになっており、上司から成果を出したい思いは間違っていないが、急かされるお客様の側に立っていないと指摘を受けました。それ以来、相手の立場、状況を踏まえてお客様との関係を少しずつ築いていって、相手にとってストレスのないペースでのやりとりを心がけるようにしています。」
要は、自覚している短所をボジティブに転換して努力したエピソードをいうことが正解となり、面接官の要求していることと一致するのです。
短所は長所の裏返し・言い換え
様々な短所があるのが人間ですが、上の例でも挙げた通り、短所は裏返すと長所になっているものが多いです。
今回の例で言い換えてみます。
飽きっぽく集中力がない→好奇心旺盛で様々なことに挑戦するハードルが低い
心配性・神経質である→几帳面、真面目
優柔不断である→慎重
頑固である→責任感が強い
せっかち・短気である→フットワークが軽く行動力がある
長所も短所も「自分の特徴」です。良い方向に出れば長所として捉えられますし、悪い方向に出れば短所になります。「自分の欠点を伝える」という意識ではなく、「自分という人間の特徴を面接官に知ってもらおう」という気持ちで臨めば、短所の説明もスムーズにできるでしょう。
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