転職の際、特に重要視されるポイントのひとつが「退職理由」です。どのような書き方をすれば好印象につながるのか、求職者にとっては心から気になるところですね。退職理由欄付きの履歴書には退職理由だけを書く欄がありますので、評価される退職理由の書き方を例文付きでご紹介していきます。
「前向きな退職理由」が原則
病気や倒産などの仕方がないものを除けば、退職を考える理由は「会社に何らかの不満がある」または「別の会社でチャレンジしたい」のどちらか、もしくは両方でしょう。
ケースとしては圧倒的とも言えるほど前者、つまり「会社に不満がある」という理由が多いようですが、ありのままを退職理由とするのはNG。好印象を得るためにはネガティブな理由を書き連ねるのではなく、あくまでも前向きな姿勢で退職したことを書かないといけません。
勤めていた会社への不平・不満を書いてしまうと悪印象なのは言うまでもありません。特に長々と回りくどく書き連ねてしまうのはNG。愚痴っぽい退職理由を見て、気持ちの良く感じる採用担当はまずいないでしょう。
これが退職理由を書く際の基本的な考え方です。
職場の人間関係が理由の場合
退職理由としてよく耳にするのは、職場での人間関係の悩み。会社組織で働く以上は周り人と良好な関係を築けないとストレスが溜まりますし、仕事を円滑にこなすことも困難になってしまいます。ですが、会社の規模に関わらず、多くの人がこの悩みを抱えているようです。
退職理由に「人間関係がうまくいかず…」と書いてしまうと、採用担当者は「本人に原因はないのだろうか?」と危惧してしまいます。
たとえ本人に非が無く、勤めていた企業の従業員が一風変わった人ぞろいでも、原因がどこにあるのかを採用担当者が判断することはできません。
書類選考や面接からのみでは、求職者の表面部分しか分からないためです。以前勤めていた職場で良好な対人関係が築けなかったとすれば、求職者の対人スキルを懸念することも当然と言えるでしょう。
円滑な人間関係を求める人は、他人との良質なコミュニケーションを渇望していて、「チームで協力して仕事をしたい」という一面を持っていることが多いようです。
「人との関係性が上手くいかない」という悩みを「人とのコミュニケーションを大切にする仕事に就きたい」という理由に変換すれば、好印象を持たれる退職理由につなげることができるでしょう。
「以前勤めていた会社では、個々の能力や実績が重視されていて、仕事もそれぞれにこなすといった閉鎖的な社風でした。もちろんそれも方向性のひとつと考えてはおりますが、私はひとりきりで仕事をこなすことには限界があると感じております。皆で協力しながら仕事をし、達成感や喜びをチームで共有できる仕事に携わることへの思いが強くなり、退職を決意しました。」
待遇・給料が理由の場合
会社への不満として多いもので、自分の待遇、給料の額に満足していないというケースも多くあります。大手の企業であっても給与はあまり高くないところもあり、自分の仕事のやりがいと仕事の重要性、それに対する給料額にギャップを感じるケースもたくさんあります。
とはいえ、その待遇面の不満を直接言うのはNG。前面に押し出してしまうと、「うちの会社に来ても不満が出てしまうのではないか?」と思われる可能性が高いです。
自分の仕事に自信を持っていて、それが待遇に反映されなかったということ、次の職場では成果が反映されやすいところで仕事をしたいことを応募先の会社にうまく伝えましょう。
「前社の評価制度のなかで、自分の仕事の成果を実感できる場面が少なく、良い業績を収めても給与の額にはあまり影響しませんでした。給与体系について、実績を適切に評価していただけるような会社で、結果次第では給料が減ることも覚悟の上、自分の力を発揮して会社に貢献したいと思い退職しました。
上司の言動・やり方が理由の場合
人間関係の一部ではありますが、特に目立つのが上司との不和です。理不尽に仕事を押し付けられたり、いわれの無いことでお説教をされてしまったり…。
上司からの一方的な言い分に辟易したという経験は、誰しも覚えがあるのではないでしょうか。もちろん優れた上司も存在しますが、悪い部分が際立ってしまうのは万事においての常というものです。
憤りに任せて「上司との折り合いが悪くて…」という退職理由を採用担当が目にすれば、「当社では大丈夫なのだろうか?」という不安を抱くことでしょう。入社後に配属された部署の上司と新人が仲良く仕事できるかなど、働いてみないと誰にも分からないことなのですから。
高圧的な上司に我慢できない人は、伸び伸びとした仕事の仕方を望んでいる方が多いようです。上司と馬が合わないという事実を、心置きなく仕事に打ち込める環境を望んでいるというポジティブな理由に置き換えてみましょう。
「前の会社では社歴が長い人ほど発言権が重く、若手のアイデアが重宝されるということはありませんでした。しかし社歴の長い人のアイデアも失敗することもしばしばあり、とてももどかしく歯がゆい思いがありました。自分の能力や技術を向上させること、成果を出すことが大前提とはなりますが、その上で個々人が伸び伸びとした仕事ができる環境での就業を望み、この度の転職を決意しました。」
残業の多さが理由の場合
ひと昔前と比べると、残業の規制は厳しくなってきているようです。週に一度の定時退社日を設けたり、月の残業は〇〇時間までというルールを徹底させたりという話は、徐々に珍しくなくなってきました。
しかしその一方で、労働基準法を無視した時間外勤務を強いる会社があることも事実です。残業しなければ仕事が回らなかったり上層部の労働方針に問題があったりと、その理由は実にさまざまですが、長時間の残業が日常化してしまえば、仕事が嫌になってしまうのも仕方のないことです。
しかし、残業時間の多さを退職理由としては書かないほうが良いでしょう。時間外勤務の多い会社はいくらでもありますし、どこまで耐えられるかは本人次第の部分が大きいため、「残業が多くて辞めました」と書いてしまうと、「辛い仕事には耐えられない人かもしれない」という評価を受けてしまう恐れがあります。
残業苦に悩む人は仕事の効率化を求めているものです。個人のキャパシティはそれぞれとしても、能率良く仕事をこなすことができれば、仕事にかかる時間は短縮され、日々の残業を減らすこともできるでしょう。残業が多いという事柄を仕事の効率に置き換えてみましょう。
「仕事に残業は付きものだと思いますが、前職では残業の質が高くなかったと感じていました。先輩社員よりも先に帰社しづらい風潮があり、かといって安易に手伝える仕事も少なかったため、先輩の仕事が終わるのを待っているということがありました。私は残業すること業自体は厭わないのですが、もっと効率良く仕事ができるようになればという考えを抱いておりました。人件費の観点からも残業が少ない方が良いと思いますし、オンとオフの切り替えをすることで仕事にメリハリができ、効率的に仕事に臨める環境で働きたいと考えて退職を決意しました。」
まとめ
退職理由は採用担当者が気にする大きなポイントです。今回解説したポイントは以下の通りです。
- 「前向きな退職理由」を伝えることが重要
- 職場の人間関係が理由の場合は、対人関係を重視したいという気持ちを伝える
- 待遇・給料が理由の場合は、給与が減ることも覚悟して適切に評価されたいという気持ちを伝える
- 上司の言動が理由だった場合は、心置きなく仕事に打ち込める環境を望んでいるという気持ちを伝える
- 残業の多さが理由の場合は、仕事の効率化を望んでいるという気持ちを伝える
あくまでも前向きな理由という姿勢を打ち出したうえで、それぞれの原因に納得して好印象を持ってもらえるような伝え方を意識しましょう。
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