就職活動をしていると、よく見かける「試用期間」ですが、この試用期間中に退職をする場合にも退職届は必要なのでしょうか。今回はその点について解説します。
雇用関係は成立しているので退職の意思表示は必要
まず、試用期間であっても、会社と労働者の雇用契約はすでに成立しています。試用期間中の従業員と会社の間では一般的に「有期雇用契約」あるいは「解約権を留保した労働契約」が締結されます。試用期間とは「労働者の適格性」を判断するための期間として解約権が会社に留保されている期間と考えられています。
雇用契約が成立しているため、会社を退職する際には試用期間であるか否かにかかわらず、退職予定日の遅くとも14日前までに退職の意思を申し出る必要があります。また会社側も従業員が働き始めて15日目以降の解雇をする場合には、特別な場合を除いて30日前までに予告するか、解雇予告手当の支払いが必要になります。
自分の意思で辞める場合は退職届を提出したほうが良い
会社を退職する場合には退職したいという自分の意思を表す必要があります。退職の意思を表すものとして、退職届などの書面は必ずしも必要ではありません。なぜなら口頭での意思表示も退職の申し出とみなされるからです。しかし、後々のトラブルを避けるためにも書面での意思表示をしたほうがいいでしょう。
また会社によっては、退職の際には退職届を所定のフォーマットで提出する必要がある場合もあります。
会社都合の退職の場合は退職届は不要
退職届は自分の意思で退職を届ける書類で、一旦提出をすると撤回ができません。また退職届に対して、会社の承諾は必要ありません。
もし会社との話し合いや状況の変化により、退職を撤回する可能性がある場合には「退職願」を提出しましょう。退職願は退職の希望を会社に願い入れる書類です。会社が承諾しない限り退職にはなりません。
試用期間後に雇用契約を継続する意思が会社になく、解雇を告げられた場合は退職届は必要ありません。
では、会社から退職届を書くように言われた場合にはどうしたらいいでしょうか。あくまでも会社の都合であれば退職届を書く必要がない場合もあります。
しかし、書かないことで解雇になると後の就職活動の際に履歴書に記載する内容に影響が出てきます。退職願や退職届を要請している会社の意図をきちんと確認して慎重に判断しましょう。判断に迷ったら、労働基準監督署や労働相談センターに相談してもいいかもしれません。
厚生労働省ホームページ
退職届を郵送してそのまま出社しないのはマナー違反
退職届を突然会社に郵便で送付し、そのまま会社に行かないという選択をする方がいますが、それは得策ではありません。
まず、雇用関係にある場合には退職の14日前までにそれを届ける必要があるためです。そして14日以上前であっても、退職の申し出がいきなり「退職届の送付」だと、やはり角が立つ可能性があります。受け取った日にちが14日以内であればトラブルになりかねませんし、14日以上前であっても、引継ぎや会社の備品整理などを一切しないのはマナーとして良いものではありません。
まずは可能であれば、直属の上司に相談し退職日や引き継ぎについて話し合ってから直接退職願や退職届を渡しましょう。
何度も退職願を出しているが聞き入れられない場合や、特別な事情がありどうしても退職届を直接出せない場合には「内容証明」で送りましょう。その場合にも退職の14日以上前に退職届が人事権を持つ人へ届くことが大切です。
以上が試用期間の退職に関する解説です。試用期間中でも退職の場合には退職の意思を表すことが必要です。次の就職活動を有利に進めるためにも、できるだけしこりを残さずに退職をすることが大切です。退職は言い出しにくいことではありますが、今の時代、転職は珍しいことではないので自分の意思をはっきりと伝えましょう。
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