試用期間

試用期間の長さは最長いつまで?1年って違法なの?法律での定めは?

試用期間の長さは最長いつまで?1年って違法なの?法律での定めは?

転職後、多くの人が経験する「試用期間」。その期間は企業によって異なります。通常はどのくらいの長さなのか?1年以上の試用期間は法律上問題ないのか?詳しく解説します。

試用期間の長さ・上限について法律の定めはない

試用期間の長さは、正当な理由をもって就業規則などで事前に定められていれば、上限はいつまでと制限する法律はありません。しかし、試用期間は仕事に対する本人の適性や能力を見極めるためのものなので、その見極めをするために必要な期間を設定することが求められています

期間は客観的に見て相当な(合理的だと言える)期間でなければならず、実際には業種や職種にもよります。書類や面接で「自社の従業員としてふさわしい」と見定めても企業が望む働きをするかは勤務を開始してみないと把握しきれない場合があります。そのため本当に戦力になるか、適性・能力があるのかを判断する試用期間を設けることで、本採用するかどうかを会社が判断しています。

正社員の試用期間は3~6か月が一般的

試用期間の長さに法律上の制限はありませんが、過去に1年以上の試用期間が違法であると判断されたこともあり、長期的な試用期間を設定している企業はわずかです。

労働政策研究・研修機構(JILPT)の平成26年の調査結果によると、中途採用(転職)の正社員の試用期間については3ヶ月~6か月の間で設定している企業が80%以上でしたので、この期間が一般的と言えるでしょう。

なかでも3ヶ月としている企業が最も多く、65%の企業が3か月程度を試用期間として設定していたという統計が出ています。6か月程度を試用期間として設定しているところも18%以上あり、多くの企業が3~6か月間程度を試用期間として設定しているということが言えます。

新卒の試用期間も3か月~6か月程度が多い

新卒で企業に入社した場合でも、試用期間が設定されていることはよくあります。上記で紹介した労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査結果資料では、新卒・中途採用ともに試用期間が設定されている企業が90%を超えています

また期間の長さも3ヶ月程度が66.1%と最も割合が高く、おおむね中途採用と同じような設定がされており、60%くらいの企業が同じ期間を設定しています。会社の考え方としては、新卒も中途採用も試用期間についての考え方、期間については共通していると言えます。

試用期間の設定に問題があったとされた2つの裁判例

「適性・能力を把握する」ことを目的としていると考えた際、不自然に長い試用期間は違法とされる可能性があります。裁判になった際に個別の事情に基づいて法律上問題ないかどうかが判断されます。例えば以下のような場合です。

裁判で1年以上の試用期間は違法とされたケース

試用期間中は給与など本採用時と異なる条件を設定される場合が多いですが、給料を低く抑えるために長期間(1年以上)の試用期間を設定することは不当な期間であると判断された裁判の例があります。

「1年以上の試用期間」について争われた裁判では「労働者が賃金や雇用の面で不安定な状態にあった」とされて「民法90条の公序良俗に反する」、つまり1年以上の試用期間は違法であるという判断が下されています。

このケースは「見習社員期間」として数か月が設定され、それが終了してさらに試用社員としての試用期間を6か月~1年定められており、長期間労働者が不安定な地位にあったとするものです。

バイトから正社員になった場合は試用期間が不要とされたケース

もともと長期間アルバイトや派遣社員で働いていた人を同じ業務を行う正社員として採用する場合、すでに長期にわたる勤務状況がありすでに適性や能力は判断できているとされ、正社員登用時にあらためて試用期間を設ける必要はないと判断された裁判例があります。

これらの2つの例は「試用期間の長さ」という法律上の規定がないものが裁判のなかで争われた事例で「試用期間の趣旨」から考えるということになりました。その趣旨は最初に説明したとおり試用期間は「能力・適性を判断する」ための期間であるということです。

他にも、裁判の例はありませんが、例えば1年間の有期雇用(契約期間が決まっている雇用契約)で契約社員になる場合、6か月の試用期間を設けるのは契約期間の半分の長さが試用期間になるというのは、問題になる可能性があると言えるでしょう。

試用期間の延長はありえるもの

試用期間の延長についても法律上の制限はなく延長自体は認められているものですが、企業が自由に判断していいものではなく一定の条件をクリアした場合に認められるとされています。そもそも試用期間が満了になった場合、不適格だと認められる場合以外は原則として本採用をする必要があるとし、企業の都合で簡単に延長ができないものとされています。

現状では、以下の条件を満たした場合に限って延長が認められるとされています。

  • 試用期間延長の規定についてあらかじめ就業規則、または労働契約書に記載があること
  • 延長する正当な理由があること
  • 本人の合意を得ること
  • 当初の試用期間から数えて1年以内、1回のみであること

まとめ

今回、試用期間の長さについて解説しました。まとめると、以下の通りです。

  • 試用期間とは、業務への能力や適性を見定めて本採用後のミスマッチを防ぐためのもの
  • 企業の自由な判断で決めることはできず、客観的に相当な設定が必要
  • 期間について法律で決められていないが、一般的に3~6か月が妥当とされる
  • 正当な理由がなく期間が長い場合やアルバイトを正社員登用してあらためて雇用期間を設ける場合は無効となる可能性がある
  • 延長される場合も、一定条件をクリアしたうえで雇用開始から1年以内が妥当とされる

試用期間については、企業側も正しく理解していない場合があります。事前に就業規則や労働契約書の記載を確認し、不当でないかを自ら判断できるよう、学んでおきましょう。
試用期間の延長の条件に付いては上で解説しましたが、延長されるよくあるケースについてはこちらの記事を参考にしてください。

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