履歴書の書き方で、職歴欄に「退職予定」と書くケースがあります。在職中の方が用いる言葉ですが、その他にも「在職中」や「現在に至る」などがあり、言葉の種類はひとつではありません。
今回は「退職予定」をどのようなときに書くべきなのかということについて、解説します。
「退職予定」を使うのは退職日がほぼ決まっている場合
原則として「退職予定」は、勤めている企業との間で退職についての話し合いが進み、ほぼ決定しているときに使用する言葉です。
会社への退職の意思を表明しておらず「自分の中では退職することが決まっている」という内心だけの段階では使用しないようにしましょう。その言葉を鵜呑みにして応募先の企業が選考を進めると、予想外の出来事が起きたときには迷惑をかけてしまうおそれがあります。
例えば、退職を申し出てから1ヵ月くらいで会社を辞めるつもりでいても、いざ話し合いをしてみたら引き継ぎや業務整理に3ヵ月はかかってしまうという場合があります。
本当にそんなことがあるのかと思う人もいるかもしれませんが、このケースは案外、多いものです。また、有給消化を計算せずに履歴書に「退職予定」と書いてしまったりすると、「有給は使いたいけれど消化期間内に入社日が来てしまう…」などということがありえます。入社日の再調整が必要になったり、思わぬところで損した気持ちになってしまうかもしれません。
「退職予定」と記載する3パターン
では、どのような場合であれば「退職予定」を使用しても良いのでしょうか?退職が決まっているということは大前提として、次のようなケースが考えられます。
パターン1.退職日が近い・確定している
退職日が間近あるいは確定している場合には、履歴書の職歴欄に「〇月〇日退職予定」と記載しても問題ありません。
日にちが近ければ引き継ぎなどの仕事の整理にも目処が立ち、予定日を引き伸ばされるなどのトラブルが発生する可能性が低く、問題なく退職を迎えられる信ぴょう性が増します。
選考は時間がかかるものですが、退職日を履歴書に記載しておくと選考を急いでくれて、無職の期間が出ないように配慮してくれる可能性もあります。なお、予定日までは会社に在籍しているので「現在在職中」や「現在に至る」と書いた上で、退職予定日を書きましょう。
パターン2.派遣社員で契約満了を迎える
契約更新が無い、期間満了を迎える派遣社員の場合には、「退職予定」と書いても良いでしょう。
派遣は就業期間の定めが任意ではありませんので、決められた退職日を書いておくと、人事担当もその後のスケジュールが立てやすくなります。
求人を出している企業にとって、入社日を定めることは重要事項なので、上手く合致すればライバルよりも優位に立てるかもしれません。
パターン3.急募や締め切りが近い求人への応募
求人には締め切りがあります。掲載するのに費用がかかる求人媒体に掲載している場合、掲載終了日を迎えてから再度掲載するとなればさらに費用がかかりますので、締め切り前に応募・採用が決まれば、企業側も余計な出費を抑えることができます。
急募の場合も同様に、わざわざ「至急」と書いてあるということは、すぐにでも人材が欲しいということです。退職予定日が記載されていて、仮に入社日を間近に設定できるのであれば、採用への大きな要素になるでしょう。
このケースでは退職予定日を書いておくことで、企業側の選考がよりスムーズになる可能性があります。ただ、この場合はケース1のように間近や確定しているわけではないのであれば、書ける範囲での予定を書くということになりますので、応募先に誤解を招かないように面接時に詳しく話す等の補足説明を忘れないようにしましょう。
履歴書の書き方としてはパターン1と同様になりますが、出社可能日がわかっている場合、次の段落の「出社可能日」欄の記述方法を参考にしてください。
「出社可能日」も併せて書くのがおすすめ
いつから働けるかということがわかっている場合は、この「出社可能日」を退職予定日と併せて記載することをおすすめします。「出社可能日」は「就業可能日」と言われることもありますが、どちらの記載でも問題ありません。「出社可能日:〇年〇月〇日以降より就業可能です。」という文言を入れておきましょう。
退職予定日は決まっているものの、有給消化や他の予定が入っている場合など、退職予定日直後に勤務できない場合もありますから、いつから勤務可能なのかを伝えておくことで、企業側も採用を検討する際にはスケジュールを立てやすくなります。
本人希望記入欄にも記載するほうが良い
在職中の場合、本人希望記入欄には、退職予定日までの(在職期間中の)希望の連絡先を記載することが一般的です。あわせて、退職予定であることとその日付、予定日までの連絡先などを記載しておくことをおすすめします。
企業の担当者側がその欄を見るだけでどうすれば良いのか、情報としてまとめてわかりやすくなります。
具体的な記載事項としては、退職予定日、退職予定日までの連絡先(電話番号・メールアドレス・時間帯)および出社可能日です。
「退職見込み」と書くのはNG
「退職予定」という言葉について、間違って「退職見込み」と書かないように注意してください。
「見込み」とは「将来についての予想」や「将来そうなるであろうという期待」のことです。つまり、「将来、退職できるといいな」と書いていることになりますので、「退職予定」とは意味合いが異なります。この言葉は使用しないようにしましょう。
まとめ
「退職予定」の使い方は実は注意が必要ということがわかりましたでしょうか。今回の記事の要点をまとめると以下のようになります。
- 「退職予定」という言葉は退職が会社との間でほぼ決定している場合に使う
- 「退職予定」を使っても良いのは、「退職日が近い・確定しているとき」、「派遣社員が契約満了を迎えるとき」、「急募や締め切りが近い求人に応募するとき」の3つのケースがある
- 「出社可能日」も併せて書くと採用を検討している企業はスケジュールが立てやすい
- 本人希望記入欄にも記載するほうが良い
- 「退職見込み」という言い方は間違っているので使わない
\ この記事をシェアしよう! /