試用期間

試用期間中の社会保険は未加入・なし?法律的にはどう?

試用期間中の社会保険は未加入・なし?法律的にはどう?

無事採用されて出社し、試用期間がスタートする際に「試用期間の○か月間は、社会保険には未加入になります」と言われてしまったらどうでしょう。健康保険や国民年金は別途、自分で手続きをして払う必要が出てきます。

こうした待遇は問題ないことなのか、詳しく解説します。

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試用期間でも会社には社会保険に加入させる義務がある

まず、「試用期間」というのは、期間終了後にも引き続き雇用する前提で、勤務態度や仕事の能力、コミュニケーション能力などを見て、本採用するかどうかを決定するための期間です。

期間は企業によって異なりますが、目安は1~6カ月程度です。試用期間のルールは法律で定められているわけではありませんが、長期の試用期間を設けて働かせることは労働者の地位が非常に不安定になるため、長期の試用期間は裁判になると企業側が不利になります。

試用期間とそれ以降の期間で何が違うのかということですが、試用期間中は企業側にとって、本採用後よりも広く「解雇の自由(解雇権)」が認められているという点が異なります。

勤務態度が極めて悪いと雇用主が判断した場合、試用期間の初日から14日以内であれば、企業は労働者に対して、解雇予告なしで解雇できるようになっています。

違いは上記の点なので、試用期間中であっても、社会保険に未加入にして良いということにはなりません。例えば、会社が雇用した者は、アルバイトも含めて、全て労災保険に加入させる必要があります。

さらに「2か月を超える雇用契約」を結んだ状態で、労働時間が週20時間以上かつ31日以上雇用する見込みがあれば、雇用保険の加入義務も生じます。

一般的に正社員の採用は無期雇用契約(当然「2か月以上」です)なので、条件を満たしていることになります。

健康保険や厚生年金は、正社員の労働時間・労働日数のおおむね4分の3以上で加入義務が生じます。これらは法律によって決まっているルールです。

なぜ試用期間中は社会保険未加入になる場合があるのか

上で説明したように、条件を満たせば試用期間かそうでないかに関係なく社会保険の加入は法律で決められています

試用期間中は労働時間が短く、加入所条件を満たさない場合、労災以外の保険は未加入になる可能性はあります。ただし、このケースは一般的な正社員の労働時間を前提とすると、めったにないでしょう。

会社が試用期間で社会保険の加入手続きをしたがらない理由として「試用期間中に辞められると手続きが面倒だから」という事情があります。

入社してすぐに加入手続きを行い、2,3週間でやっぱり合わないと退職してしまった場合、また手続きを行う必要があります。書類の準備もあるのでそれなりに時間がかかることですので、試用期間を終えて「すぐには辞めることはないな」と判断したときに加入手続きをしたいという都合があります。

しかし、面倒だからといって法律上も必要な手続きを行わないというのは、実際に働く側にとっては万一の時に非常に困ってしまうことです。

労働者の立場としては、あくまでも条件を満たしているかどうかで考える必要があります。

社会保険未加入と言われたら年金事務所に相談する

自分の労働状況、条件が社会保険の加入条件を満たしているにも関わらず、未加入と言われた場合、まずは可能であれば会社で社会保険の加入に関する業務を行っている部署の部門長に加入してもらうように話をしてください。

実際には難しいかもしれませんが、就業規則などに書かれていなければ改善の可能性もあります。

話をするのが難しい、もしくは会社に加入手続きを取るよう希望しても加入してもらえない場合は、まずは最寄りの年金事務所(日本年金機構)へ相談しましょう。

日本年金機構ホームページ

年金事務所でやってもらえることとして「被保険者資格の確認請求」という手続きがあります。

この確認請求を行うと、年金事務所が条件を満たしているかの調査をしてくれます。そして、被保険者資格がある(社会保険の加入条件を満たしている)と認められた場合は、年金事務所から会社へ加入手続きを取るよう指導が行われます。

行政からの指導なので通常はこの段階で加入手続きを行いますが、それでも加入手続きをしない場合、年金事務所が会社の意向にかかわらず加入手続きを行うことになります。

以上が試用期間中の社会保険に関する注意点ですが、自分の応募した会社がちゃんと加入してくれるのかについては、応募時、面接時などに条件を確認しておくことが重要です。その段階で「試用期間中は社会保険は未加入です」と言われたら、労働条件(勤務時間、雇用契約の期間)を確認し、正当な理由がなく未加入なのであれば、加入を求めることをおすすめします。

また、昨今では法律に反するような労働環境や悪質な雇用契約を結ぶ企業などを「ブラック企業」という呼び方をしていますが、条件を満たしているのに社会保険に加入しないという法律違反を犯しているのも、もしニュースになればブラック企業と判断される可能性は十分にあります。

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