人材の適正を見るために、多くの企業が取り入れている試用期間制度。転職を考えている人には、気に掛かる項目のひとつです。試用期間の日数は会社によってそれぞれに定められていますが、期間の延長を申し渡されるケースがあるようです。では、実際に延長と言われてしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
試用期間の狙いは採用者の働きぶりを見ること
求人情報を見ると、「試用期間」という項目を目にすることがあると思います。端的に言えば、試用期間とは採用者の適性を計る期間のこと。書類選考や面接では知り得ない勤務態度や、技術面などを探るために設定していることが多いようです。
一般的には3ヵ月~6ヵ月の日数を試用期間として定めている会社が多く、正社員と比べると、給与などの労働条件が冷遇されることがあります。実際に働いてみないと適性が計れないことは確かですが、労働者の立場から言えば、試用期間がプラスに働くことは無いでしょう。
試用期間の延長には合理的な理由が必要
面接や求人情報で「試用期間は3ヵ月です」と見聞きしていた場合、当然4ヵ月目からは本採用されるものとして業務に励みます。試用期間内に給与が減額されていれば賃金も上がるし、何といっても正式に採用されることは喜ばしいことです。
では仮に、本採用の間際に「やっぱり試用期間を3ヵ月延長します」と言われたらどうでしょうか?当然、多くの方が落胆することと思います。「3ヵ月って言っていたのに…」という不満も芽生えることでしょう。果たして試用期間の延長は認められるのでしょうか?
結論から言えば、延長が認められるケースはあります。しかしその一方で、就業規則などで試用期間の延長について定めがない場合には、会社側が一方的な理由で延長を申し付けることは認められていません。試用期間の延長には、合理的な理由と延長が客観的に妥当であることが求められます。
正当な理由としては、労働者の能力が著しく乏しい場合や、欠勤が多くて適性が判断できないケース、業務違反や規律違反が顕著であることなどが挙げられます。
「納得できない!」と感じる方もいると思いますが、上記は解雇の理由としても正当性を帯びています。試用期間の延長は必ずしも企業の横暴というわけではありません。すぐに本採用するのは難しいけれども、今後の向上次第では登用しても良い場合なども、試用期間の延長を提案されるケースもあるようです。
また、試用期間の終了後に再度期間を設けることは禁止されています。つまり、3ヵ月の試用期間が終了して本採用となった後に、「やっぱりあと3ヵ月間は試用期間に戻します」ということはNGとなります。
試用期間延長と言われたときの対処法
では、試用期間の延長を宣告されたときはどのようにすれば良いのでしょうか?ケースバイケースではありますが、対処法には下記のようなものが考えられます。
まず、会社の担当者と話をしてみましょう。期間の延長に対して抗議する場合には、上司に当たる方と話をするのが良いでしょう。理由は何なのか、果たして正当性があるのかなどを重点に話をし、労働者側の言い分が正しいと認められれば決定を覆せることも考えられます。
会社側との話し合いでは望ましい展開が見いだせない場合、法律の専門家である弁護士に相談するのも選択肢の一つです。様々な対応策を講じてくれるとは思いますが、費用がかかることは念頭に置いておきましょう。
そして、どう考えても理由に納得ができず、会社の人と話しても無駄…という場合は退職を考えても良いかもしれません。円満な退社は難しいかもしれませんが、横暴な企業に長く勤めても良いことはありません。割り切って考えることも大切かもしれません。
一方、自分の勤務態度や能力に間違いなく不足があったと考える場合、潔く試用期間の延長を受け入れることもひとつの手段です。この際には、業務の改善点や自分に求められている技能などを詳しく聞いておきましょう。また、引き延ばされる期間・条件もあらためて確認しておくと良いでしょう。
試用期間中はなぜ延長されるのか。会社の考え方やよくある理由について解説していますので、参考にしてください。
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