退職証明書と離職票の違いをご存知ですか?どちらも会社を辞めたときに発行されるものですが、双方にはその使用用途や性質に明確な違いがあります。
今回は、ふたつの書類についての違いをご紹介します。
退職証明書と離職票の違い
以下の表は、退職証明書と離職票の相違点を簡単にまとめたものです。以下を参考に、後述する双方の違いを押さえておきましょう。
発行者 | 退職した企業 | 退職した企業 |
発行時期 | 退職者が依頼してから10日以内(2年間は複数回の要請が可能) | 退職後10日以内 |
様式 | 企業によって異なる | どの企業も共通(様式が異なる場合もある) |
発行依頼の有無 | 退職者からの依頼が必要(退職者が辞めた企業に作成を依頼) | 作成依頼は不要(退職したら必ず発行される) |
利用目的 | 転職先への提出、国民健康保険の申請 | ハローワークへの退職証明、失業給付金の申請、国民健康保険の申請、確定申告 |
記載内容 | 賃金、継続勤務時間、役職、職種、詳細な退職理由など | 退退職年度の給与総額、雇用形態、退職日、簡単な退職理由など |
退職証明書はどういうもの?
退職証明書は、会社を辞めたら必ず発行されるものではありません。離職者が退職した企業に作成を求めないと作ってもらえない書類になります。その名の通り退職したことを証明するもので、新しく入社する企業に提出を求められるケースが多いでしょう。
離職票との大きな違いは、書面の内容
離職票との大きな違いは、書面の内容にあります。記載される項目は「賃金」、「勤続勤務期間」、「役職」、「職種」、「詳細な退職理由」など。この中から退職者が書いて欲しい内容を選び、退職した企業に制作を依頼することができます。
記載内容をアレンジすることも認められていて、例えば、新しく入社する会社から退職証明書の提示を求められた場合、自身の評価につながるような事柄を記載してもらうことも可能です。在職中の実績や功績などを書いてもらいたい場合には、退職した企業の担当者に相談してみると良いでしょう。
記載様式も自由
様式は特に決まっておらず、その形は企業によって様々。退職者から作成を要請された場合、企業側は退職証明書の作成を義務付けられています。
会社が退職証明書の制作に応じない場合、罰則が与えられる決まりになっています。発行の期間は、退職者が会社を辞めてから2年間まで有効。期間内であれば複数回の作成も認められているので、依頼があった場合、原則として企業側は何度でも応じる必要があります。
退職証明書の提出を求められる理由
退職証明書の提出を企業が求める理由としては、履歴書や職務経歴書に偽りがないかどうかを確認するためや、退職理由を知りたいなどが上げられます。だからといって、「経歴詐称を疑われているのでは?」と考える必要はありません。あくまでも事務的な手続きの一環として捉えて良いでしょう。
そのほかにも、国民健康保険の申請などに使用することができますが、失業保険の手続きに利用することはできませんので注意しておきましょう。
請求方法・再発行についてはこちら
離職票はどういうもの?
離職票は企業を辞めると必ず発行される書類で、正式には「雇用保険被保険者離職票」という名称。任意で発行される退職証明書とは違い、企業に作成を依頼する必要はありません。
「退職したことを証明する書類」という点では退職証明書と同様で、記載されている項目は簡単な退職理由、給与、出社日など。退職理由については退職証明書とは異なり、詳細に書かれているということはありません。
お金にまつわる手続きに必須
使用するシーンは、金銭面を含んだ事務的な手続きが多いようです。
例えば、失業給付金を受け取る際にハローワークから提出を求められたり、確定申告に使用したり、国民健康保険の手続きに利用したりという具合です。会社を辞めてから10日以内に発行される書類で、多くの場合は郵送という形で退職者の手元に届きます。
離職票には退職した年度の給与額が記載されています。これを基に失業給付金額や確定申告時の税金、国民健康保険料の料金が決定します。退職後には必ず利用する、大切な書類であることは間違いありません。
お金の手続きに必要という性質を持っているため、その重要度は退職証明書よりも高いと言えるでしょう。保管には注意を払う必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?退職証明書と離職票の違いは多々ありますが、特に要点となる部分をまとめると以下のようになります。
- 退職証明書は任意で発行され、離職票は必ず発行される
- 離職者が記載して欲しくないことは退職証明書に書かなくても良い
- 退職証明書は失業保険の申請に使用することができない
- 離職票はお金に関する手続きに必須なので、保管には十分に注意する
退職に関する書類がふたつあるのは面倒なことかもしれませんが、双方の違いをしっかりと押さえておくことは、不要なトラブルを避ける意味でも必要になってくるでしょう。
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