実際、企業の求人に応募する段階になると「職務経歴書に印鑑を押す必要はあるのかどうか」で迷いがちです。印鑑を押す必要の有無を含め、書類選考や採用に響いてしまうのかどうかも気になるかもしれません。新境地を求めて転職するのに、疑問点は一刻も早くクリアにしておきたいものなので、詳しく解決します。
現在は職歴書への押印は必要とされていない
自民党が政府に提出し、平成11年に施行された「押印見直しガイドライン」の中で、従来、押印(印鑑を押すこと)が求められていた書類について、履歴書を含めて「事実・状況を把握することのみを目的としているもの」は押印廃止ということになりました。職務経歴書もこれに該当するものとされ、現在は押印は不要とされています。
ガイドラインが発表されてから15年以上経ち、最近の市販の履歴書やインターネット上で見つかる履歴書のテンプレートは押印枠がないものがほとんどです。そして、転職の場合、履歴書と合わせて作成するものとなっている職務の経歴という「事実・状況を把握することのみを目的としているもの」となる職務経歴書においても同様に押印の必要はない、ということです。
特に最近では、職務経歴書はパソコンで作成することが多いため、名前までパソコンでタイピングして印刷するケースも多く、書類の確認や選考に関しても押印はなくても問題ないとされています。
なお、そもそもこのガイドラインの趣旨は、申し込みや届け出の際の押印の手間という国民の負担を軽減し、書類の電子化、ペーパーレス化を進めるものとして規定されたという背景があります。社会情勢の変化としても、不要な押印は減ってきている傾向があると言えるでしょう。
昔は押印が必要とされていた事情とは!?
今なお履歴書や職務経歴書に押印が必要かどうか迷うというのは、かつては様々な書類に押印が必要だった習慣や、押印がないことへの不安感による影響が大きいです。
転職のセミナーやビジネスマナー講座を開いている会社、あるいは大学など学校で履歴書には押印が必要と教える指導があったこと、履歴書にもかつては押印欄があったため、他の関連する応募書類にも全て押印が必要だと思い込みがあったこと、「押印がないままで何かあったら不安なので印鑑を押しておく」という応募者側の不安感などが要因として挙げられます。
また、遺言書では押印が決め手になった判例もあり、法律上も全ての書類に押印が不要になったというわけではありませんので、「どれが必要でどれが不要なのか」がわかりにくい場合、「とりあえず押印しておいて間違いはない」と考えて押印していた事情もあるでしょう。
パソコンで作成する場合は名前を忘れないように注意
最近はパソコンで履歴書や職務経歴書を作成する場合がほとんどです。「名前だけは自著で手書きにしよう」と考える人もいるかもしれません。「なくてもいい押印がある書類」よりも「必要な名前がない書類」のほうがマイナス印象になりますから、印刷した後で名前を書くのをうっかり忘れてそのまま封筒に入れて投函する、ということのないようにしましょう。
なお、職務経歴書に記載する自分の名前は、年配の人事担当者であれば手書きかどうかを多少気にする場合があるかもしれません。しかし「押印がないことを採否の判断基準にする」というのは、場合によっては優秀な応募者を逃してしまい、企業側にとって大きな損失になりかねませんので、実質的にはほとんど影響はしないと言えます。
書類に押印するように指示があれば従う
指定のテンプレートに沿って履歴書や職務経歴書を記載させるところの場合は、押印欄がある場合や、指定がある可能性があります。少なくとも押印欄があるのにあえて押印しないとなるとマイナス印象になりかねませんので、「本来は不要のはずです」などと主張するよりも、素直に従って押印したほうが無難でしょう。
押印の指定・指示がないのに、あえて押印をした書類で応募してしまったら、後々何となく気になってしまうことを増やしかねませんので、不要なものは基本的にわざわざしない方が心配、不安は減ります。
\ この記事をシェアしよう! /